上野屋蒲鉾店があります、島根県大田市静間町和江という地区は古くからの港町です。上野屋初代、中島興吉が和江で商売を始めたのは明治３０年と伝え聞いています。

その頃、この小さな港町には５０軒を超える魚屋さんが商いをしており、鮮魚はもちろん、干物や魚のすり身を売る商人さんもいたそうです。

しかし、生のすり身をそのまま持ち運ぶのは不便で衛生的にも問題があるので、麦わらですり身を巻いて加熱して出来たのが簀巻き蒲鉾です。

この蒲鉾を大八車に積んで遠くは広島との県境まで商いに行っていたそうです。

時代は変わり、和江で商いをしている蒲鉾屋は３件と減りましたが、和江港は島根県では、浜田、恵曇に並ぶ水揚げを誇る港に変わり、ここで競られた魚が東京、大阪、福岡など様々な地域に出荷されています。

和江の蒲鉾も麦わらからストローに変わり、「すとかま」と呼ばれるようになりましたが、地元で親しんで使って頂けたおかげで、年末になると北海道から九州まで全国のお客様からご注文を頂いております。